債務整理

はじめに

債務整理とは、借金の返済が厳しい状態にある方が、法律に従って借金を整理する手続です。債務整理には、主に、自己破産、任意整理、民事再生という手続きがあります。
債務整理を弁護士に依頼すると、業者からの督促・取立てが止まります。また業者への支払も止めることができるので、厳しい督促や返済に悩む毎日から解放されます。

1.過払い金請求

最近よく見る過払い金請求ってなに?

簡単に言えば、本来なら支払義務がないにもかかわらず、貸金業者に支払い過ぎたお金のことです。
法律による利率上限は15~20%ですが、大部分の消費者金融はこれを超えた利率でしたので、超過分を返還してもらえるのです。

過払い金が発生する期間の目安

借入れの金利が20%を超えている場合、およそ5~7年の取引期間で過払い金が発生します。

  • 取引期間が5年以上→過払い金が発生している可能性があります。
  • 取引期間が7年以上→過払い金が発生している可能性が非常に高いです。
  • 取引期間が10年以上→過払い金が発生していることは確実と考えて良いと思います。
  • 過去に貸金業者と取引したことがあり、完済してから10年以内→過払い金が発生している可能性があります。

※ただし返済と借入れを繰り返してきた方の場合には過払い金が発生しないこともあります。

2.任意整理

1.任意整理とは

「任意整理」とは、裁判所を通さずに弁護士が債権者と和解交渉を行う手続のことです。
まず、正常な利率であれば現在の借金の残高はいくらになるのか計算します(引き直し計算)。
この結果を元に、弁護士が代理人となって貸金業者と和解交渉を行い、原則として今後の支払い利息をカットして、元本のみを返済する和解を交わすことにより債務を整理します。
各貸金業者との間で和解が成立するまでに、3~4か月ほど要するのが一般的です。

2.任意整理のメリット

  • 金利のカットができる。

    ・原則として和解後の金利をカットすることが出来ますので、借金の総額が圧縮されます。

  • 資格制限などがない

    ・自己破産とは異なり、特定の職業に就けなくなるという資格制限がありません。

  • 柔軟な解決が可能

    ・任意の和解交渉ですので、和解する相手方や和解の内容を含めて自由に方針を立てられます。

3.自己破産

1.自己破産とは

「自己破産」とは、借金を抱えた方が自分の収入や財産では借金を支払うことができなくなった場合に、最低限の生活必需品等を除いた財産をお金に換えて債権者に還元する手続です。債務者の支払義務は免除されるため、生活を立て直す目的があります。

2.自己破産のメリット

  • すべての借金の支払いが免除されます。
  • 手続き後の給与などは原則としてすべて自分で自由に使えます。
  • 年金や公的扶助には影響がありません。
  • 選挙権はなくなりません。
  • 住民票や戸籍には自己破産したことは記載されません。

3.二種類の自己破産手続について

自己破産の手続には、「同時廃止」と、「少額管財 」という2種類の手続が用意されています。
同時廃止」とは、自己破産をする方に財産がないことが明らかな場合に、破産手続開始決定と同時に破産手続を終わらせて、免責手続だけを行うという簡便な手続です。
同時廃止の場合には、申立から3~4か月程度で手続が終了します。
少額管財」とは、自己破産をする方に20万円を超える財産がある場合や会社経営を行っている場合などに裁判所から選任された破産管財人が財産等を調査する手続です。
少額管財の場合には、手続が終了するまでに6か月程度かかります。

4.個人再生

1.個人再生とは

借金の返済が困難となった人が、その借金を減額して原則3~5年の間に支払うことです。
まず、返済計画(再生計画案)を作成し、債権者の意見を聞いたうえで、裁判所が認めれば、その計画に従った弁済をすることにより、減額された分の債務が免除されます。
自己破産のように借金全額が免除されることはありませんが、住居などの高価な財産を維持しながら債務を整理することができます。

2.個人再生のメリット

  • 住宅ローン等を除く借金が5000万円以下であれば適用されます。
  • 再生計画が裁判所に認可されると債務が100~500万円に大幅に圧縮されます
  • 住宅資金特別条項が利用可能な場合、住宅ローンが残った自宅を維持することができます。
  • 破産と異なり、一定の職業に就けなくなるといった制限はありません。
  • ギャンブルなどで借金を負った方でも利用することが可能です。