判例のご紹介

 相模原市南区相模大野の弁護士の細貝です。暑さが日ごとに増してまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。いっそうご自愛なさっていただければと思います。

 今回は、6月1日に出された過払い金返還請求に関する最高裁の判決をご紹介させていただきたいと思います。

 貸金業者が他の業者から譲り受けた債権に、債務者の過払い金が含まれていた場合、これを貸金業者に主張できるか争われた訴訟の上告審判決が出されました。
 最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は、「譲渡を受けた側に過失があるときは、超過利息の支払いがあったと主張できる」との初判断を示しました。
 民法では、債権譲渡の通知を受けた債務者が、譲渡人に「過払い金を支払った」などと留保せずに譲渡を承諾した場合、債権を譲り受けた新債権者に対抗できないと定めています。
 第2小法廷は「通常の注意を払えば過払い金の存在が分かる場合、譲渡を受けた債権者の利益を保護する必要性は低く、債務者が過払い金の存在を対抗できないのは不均衡」と判断しました。
 上記の民法の規定を削除する民法改正案が今国会に出されている関係で、影響は限定的と言われていますが、債務者の利益に資する判断だと思います。