離婚の際の年金分割について

 相模大野の弁護士の細貝惟大です。
 今回は、離婚の際の年金分割制度についてご紹介させていただきます。

1.年金分割制度とは
  年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金保険、共済年金を当事者間で分割する制度です。
  誤解されている方も多いようですが、国民年金の部分は分割されません。
  また、妻が専業主婦で、夫が会社員の場合、夫が受け取る年金額が、年金分割により半分になるのではなく、あくまで婚姻期間中にそれぞれが納めた保険料(納付実績)が分割され、年金額が計算される制度です。

2.計算方法について
(1)婚姻期間について
   20歳未満の被扶養配偶者の期間は、第3号被保険者となりませんので、年金分割の対象にはなりません。

(2)計算式について
   計算式の例は概ね以下のとおりです

  ・夫が厚生年金に40年間加入(20歳~60歳)
  ・婚姻期間30年、妻は専業主婦
  ・夫の標準報酬月額は全期間を通して36万円とする
  ・夫妻で年金分割割合につき1:1(0.5)の割合とすることに合意
  ・老齢基礎年金が月額6万6000円、
   老齢厚生年金が月額10万円程度とする

① 分割後の妻の平均標準報酬額
 =36万円×30年/40年×1/2=13万5000円
  分割後の夫の平均標準報酬額
 =36万円-13万5000円=22万5000円

② 分割後の老齢厚生年金
 (月額10万円を22万5000円:13万5000円の比率で按分)
  分割後の夫の老齢厚生年金=6万2500円
  分割後の妻の老齢厚生年金=3万7500円

③ 夫の年金額=6万6000円+6万2500円=12万8500円
  妻の年金額=6万6000円+3万7500円=10万3500円

(3)詳細については社会保険事務所にお問い合わせ下さい。
   年金分割のための情報提供請求を利用すれば、具体的な見込額が分かります。

3.年金分割請求の期間について
  離婚等の成立後2年以内に年金分割の請求を行う必要がありますので注意が必要です。