みなさん、こんにちは。相模原市南区相模大野の弁護士の細貝です。
本日は、内縁の不当破棄に関する慰謝料についてご説明させていただきます。
内縁とは、婚姻の意思をもって共同生活を営み社会的にも夫婦と認められる実体がありながら、婚姻の届出をしていないために、法律上は夫婦として認められない事実上の夫婦関係をいいます。
内縁関係については、婚姻関係に準じる関係として法的保護が与えられます。
正当な理由がないのに、内縁を解消した一方は、相手方に与えた損害(慰謝料)を賠償しなければなりません(最高裁判所昭和33年4月11日判決)。
その際の慰謝料の金額については、内縁関係の期間、内縁破棄の理由・経緯、相手方の被った精神的苦痛の程度、子供の有無、年齢、社会的地位、支払う側の資力、経済的依存の程度、内縁破棄後の生活状況などが考慮されます。
大体の相場は100万円~200万円程度と考えられます。
以下のような判例が下されていますので参考になさっていただければと思います。
① 東京地裁平成24年 6月22日判決(同居期間約8年)
原告が、内縁関係にあった被告Y1に対し、被告Y1が被告Y2と不貞関係を持ったことにより上記内縁関係が破綻し、上記婚約が不当に破棄されたとして、慰謝料等の損害合計781万0825円の支払を求めるとともに、被告Y2に対し慰謝料等の損害合計440万円の支払を求めた事案です。被告Y1に係わる請求は慰謝料50万円の限度で認容しました。
一方、被告Y2には被告Y1と交際を行ったことについて故意過失があったと認めることはできないとして不法行為の成立を否定し請求を棄却しました。
② 東京地裁平成23年 1月21日判決(同居期間約18年)
原告が、内縁の夫であった被告が突然家を出て女性を同居したことに対し、内縁関係の不当な破棄を理由として、慰謝料等の支払を求めた事案において、請求額500万円のうち150万円の限度で認容しました。
③ 東京地裁平成17年2月18日判決(同居期間約14年)
原告と被告が、同じ会社の社員と支店長の関係にあり、14年間にわたって内縁関係を続けていたが、被告が他の女性との交際を理由に内縁関係を一方的に破棄したという事例で、慰謝料額を200万円と認定しました。なお、この事例では、原告が被告の子を中絶したといった事実も考慮されています。
④ 東京地裁平成25年 6月13日判決(同居期間約11年)
被告と約11年間にわたって内縁関係にあった原告が、被告の不貞行為や、わいせつな写真の盗撮行為の発覚によって、被告への信頼を喪失し、内縁関係を解消せざるを得なくなり、重大な精神的苦痛を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償として慰謝料500万円の支払を求めた事案において、慰謝料額を200万円と認定しました。