暮らしの法律相談(放置自転車について)

 相模原市・相模大野の弁護士の細貝です。

 皆さんは、駅前などに自転車を停めていたところ、警告の張り紙を貼られたり、撤去されてしまった経験はありませんか?
 今回は、暮らしの法律問題として、「放置自転車」に関する法令をご紹介したいと思います。

 「放置自転車」とは、「自転車駐車場以外の公共的な場所に置かれている自転車で、その利用者が自転車から離れることによって直ちに移動することが出来ない状態の自転車」を言います(自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律第5条第6項)。

 条例により、駅周辺などに「放置禁止区域」が定められており、この区域内に放置してある自転車は即時撤去されてしまいます。

 また、放置禁止区域外の場合であっても、相当の警告期間後に撤去されてしまうことがあるので注意が必要です(ex.相模原市自転車等の放置防止に関する条例11条、12条)。
 自転車等放置禁止区域(駅周辺)以外の公共の場所に自転車が放置されている場合、役所が警告札を貼付することで指導を行い、それにも従わず放置されている場合は保管所へ移動します。

 保管所では2か月間保管し、引取りのないものについては処分されます。
 なお、引取りの際には、際には、移動・保管に要した費用の一部(自転車2,000円、バイク4,000円)の負担が必要になります。

 また、道路交通法上、自動車の出入り口から3メートル以内の公道に自転車を駐輪することは駐車違反になります(道交法45条1項1号)。
 なお、道交法45条1項1号に違反した者は、15万円以下の罰金に処せられます(道交法119条の2)。

 ちなみに、違法駐輪の自転車が邪魔で自動車を出すことができず、代わりに電車を利用して通勤した場合などは、その電車賃分を相手方に損害賠償請求できる可能性があります。もっとも、その場合は、当該自転車を写真に撮るなど証拠作りをした上で、持ち主を探す必要があります。

<参考>
※相模原市自転車等の放置防止に関する条例
(放置の禁止)
第10条 利用者等は、放置禁止区域内に自転車等を放置してはならない。

(放置自転車等に対する措置)
第11条 市長は、放置禁止区域内に自転車等を放置し、又は放置しようとする利用者等に対し、当該自転車等を放置禁止区域から自転車駐車場その他放置禁止区域以外の適切な場所に移動するよう指導することができる。
2 市長は、放置禁止区域内に放置されている自転車等を、あらかじめ保管所として市長が定めた場所(以下「保管所」という)に移動することができる。

第12条 市長は、良好な生活環境を保持するため必要があると認めるときは、放置禁止区域以外の公共の場所において、放置されている自転車等を整理し、又は自転車等を放置し、若しくは放置しようとする利用者等に対し、当該自転車等を自転車駐車場その他適切な場所に移動するよう指導することができる。
2 市長は、前項の規定による指導にもかかわらず、自転車等が規則で定める期間放置されているときは、当該自転車等を保管所に移動することができる。

※道路交通法45条
(駐車を禁止する場所)
第四十五条  
車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
一  人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から三メートル以内の部分

第百十九条の二  次の各号のいずれかに該当する行為(第一号及び第二号に掲げる行為にあつては、その行為が車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為に該当するとき又はその行為をした場合において車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為をしたときに限る。)をした者は、十五万円以下の罰金に処する。